こんにちわ!人間は感情の生き物。このまま何もしないとどうなるでしょう!を共に考えるファイナンシャル・プランナー【日だまり】の山根です。
今回も6月に成立しました年金制度改正法の一つ、厚生年金保険料や年金額の計算に使う賃金の上限の引き上げについてです。
そもそも、FP試験を受ける前、私が勝手に抱いていたイメージは・・厚生年金は、働いた分だけ納める保険料は高くなるけど、その分、厚生年金も多くもらえるものと思っていました。
一定ラインまでは、確かに、この認識で正しいです。
が、ある程度以上は異なりました。
※読み進まれる前に、「厚生年金保険保険料のことは知っている」、「時間・関心が無いんだよ~」という方は、下にスクロールされ、【結論】からお読みください。前置きが長くなりました。
お話する前に、私自身忘れないように・・(^^;) 制度の基本を改めて確認しますと。
日本年金機構>厚生年金保険の保険料より抜粋、参考 ⇓ ⇓
厚生年金保険保険料
厚生年金保険の保険料は、毎月の給与(標準報酬月額)と賞与(標準賞与額)に共通の保険料率をかけて計算され、事業主と被保険者とが半分ずつ負担します。
→「半分ずつ」に関しては、8/11の私のブログもご参照ください。

厚生年金保険の保険料率は、年金制度改正に基づき平成16年から段階的に引き上げられてきましたが、平成29年9月を最後に引上げが終了し、厚生年金保険料率は「18.3%」で固定されています。
毎月の保険料額=標準報酬月額 × 保険料率
賞与の保険料額=標準賞与額 × 保険料率
実は、計算式に使われている、この「標準報酬月額」がポイントでした。
「標準報酬月額」って、青天井かと思っていたのです。
まあ、私の人生は青天井ではなく、層雲レベルでしたが(^^;)
そこで、『令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和7年度版)』を見てみますと、
計算基準の「標準報酬月額」は。
報酬月額が93,000円未満の場合、「標準報酬月額」は1等級の88,000円。
2等級は、報酬月額が93,000円以上 ~ 101,000円未満で、「標準報酬月額」は98,000円。
このように、徐々に上がっていきます。
そして、報酬月額が635,000円以上になりますと、「標準報酬月額」は32等級の650,000円で打ち止めになります。
つまり、「月額100万稼いでいるぞ~!」と言われる方でも、「標準報酬月額」は650,000円です。
日本年金機構>厚生年金保険の保険料の「標準報酬月額」解説にも、
「厚生年金保険では、被保険者が受け取る給与(基本給のほか残業手当や通勤手当などを含めた税引き前の給与)を一定の幅で区分した報酬月額に当てはめて決定した標準報酬月額を、保険料や年金額の計算に用います。
現在の標準報酬月額は、1等級(8万8千円)から32等級(65万円)までの32等級に分かれています。
報酬月額は、通勤手当等を含めた報酬に加え、事業所が提供する宿舎費や食事代等の現物給与(全国現物給与価額一覧表)の額も含めて決定されます。
また、毎年9月に、4月から6月の報酬月額を基に、標準報酬月額の改定が行われます(定時決定)。
定時決定の算定月以後に報酬月額に大幅な変動(標準報酬月額の2等級以上)があった場合には、標準報酬月額の改定が行われます(随時改定)。」
と記載されています。
★ちなみに、標準賞与額も少し似ていまして・・
「標準賞与額とは、実際の税引き前の賞与の額から1千円未満の端数を切り捨てたもので、支給1回(同じ月に2回以上支給されたときは合算)につき、150万円が上限となります。」
「厚生年金保険で標準賞与額の対象となる賞与は、賃金、給料、俸給、賞与等の名称を問わず、労働者が労働の対償として受けるもののうち年3回以下の回数で支給されるものです。自社製品等の現物で支給されるものも含みます。」
と記載されています。
標準賞与額は「150万/回」、「3回以下」がキーワードになります。
★余談ですが・・『協会けんぽ管掌の健康保険料率』も、また、同じように区分されていますが、厚生年金保険料とも似ているようで異なります。
ご参考ください。都道府県でも異なります。⇓
【結論】
ここで、やっと結論です。
長々と話してきましたが、要は、厚生年金保険料や年金額の計算に使う「標準報酬月額」の上限額、65万円を段階的に引き上げます!という制度改正がありました。
2027年9月 → 65万が68万に。
2028年9月 → 68万が71万に。
2029年9月 → 71万が75万に上がります。
なぜ、2年後からスタートなのでしょうか?
なぜ、段階的になのでしょうか? 変更予定でもあるのでしょうか?
私には分かりません。
厚生労働省ホームページ>厚生年金等の標準報酬月額の上限の段階的引上げについて より抜粋


厚生労働省ホームページ>厚生年金等の標準報酬月額の上限の段階的引上げについて をご参照ください
少しは、頑張った分、年金がもらえるようになる方が増えそうですね。
その分、保険料が上がりますけど。
図中の言葉・・
「賃金月65万円以下の方の保険料は変化しません」
この言葉が、逆に、身に染みます(^^;)
喜んでいいのか・・
